2022年4月1日から、水道水の農薬が規制緩和されるって話を最近よく耳にします。
これは、正式には『水質管理目標設定項目である「農薬類の目標値の見直し」』を行うというものです。
「農薬が入れられるから水道水は飲めないの?」
「農薬まみれで水道水が飲めなくなる!」
なんてことは、まったくありません。
ご安心くださいね。
今回の改正は・・・
今回の農薬類の目標値の変更は、内閣府食品安全委員会により公表された「農薬の食品健康影響評価の結果」に基づいて改正されたもの。
これは、最新の科学的知見に従い目標値が見直されたもので、「水道水に農薬が入れられてしまう」ということではありません。
「水道水に農薬を入れる」のではなく、
「万一水道水に農薬が入ってきても目標値の濃度を超えないように管理しよう」というもの。
日本の水道水は、厳格な水質基準の他に、水質管理目標設定項目や要検討項目など、より質の高い水道水を供給するための目標値が定めてあり、私たちは安全に水道水を利用することができます。
安心ですね!
では、具体的に何が変わるのか見ていきましょう!
目標値(濃度)の見直しがされる項目がある
今回、目標値の見直しがある項目は
- 「ホスチアゼート」 0.003mg/L→0.005mg/L (緩和)
- 「クロロピクリン」 0.003mg/L – (新規)
- 「ウニコナゾールP」 0.04mg/L→0.05mg/L (緩和)
です。
これが、最新の科学的知見に従い目標値が見直されたものですね!
昔は「卵は一日1つまで!」なんていわれていましたが、現在ではそんなことはいわれなくなりましたね。これも、医学的に見て考えが見直されたものですよね。
これと同じこと。
農薬に関しても、現在の知見に基づいたら、数値の見直しが必要だねってことです。
結果、微量ながら濃度が緩和されたものがあるんですね。
より厳しい分類への変更
そして、
- 「イプフェンカルバゾン」
要検討農薬類から対象農薬リスト掲載農薬類へと分類を変更する
は、今まで大丈夫だと思われていたけど、イプフェンカルバゾンも農薬評価値が大きいことがわかったから、要検討農薬から対象農薬に変更しましょう!というもの。
これは、対策強化になりますね!
検査対象の物質が増える
そして最後に、
- 農薬類のメチダチオンと塩素が反応し生成された「オキソン体」も検査の対象とする(新規)
というもの。
これは、水道水の消毒用に入れる塩素と反応して生成されてしまうオキソン体っていう物質も、毒性があることが確認できたから検査の対象にしましょうね!ということです。
浄水場で消毒用に投入される塩素は、いろいろな物質と反応し副産物を生成させてしまいます。
よく聞く発がん性の恐れがある「トリハロメタン」もその一つ。これは塩素とフミン質が反応して生成される消毒副生成物。総トリハロメタンはちょろちょろ耳にしますので知っている人も多いのでは!?総トリハロメタンは水質基準でしっかりと管理されているのでご安心ください!
話を戻しますが、オキソン体についても、対策の強化ですね。
緩和緩和っていうけど
規制が緩和されるって聞くと不安になってしまいますが、何も恐れることはありません。
規制が緩和されるわけでもなく、最新の知見に基づき「目標値(濃度)の見直し」が行われるだけ。
そして「より管理が厳しい分類へ変更になったこと」、そして「検査の対象物質が増えたこと」なので、どちらかといったら対策が強化され厳しくなったともいえますね!
けっして水道水に農薬が入れられてしまうなんてことはありません。
より質の高い水道水を供給するための改正なので、安心して水道水をご利用ください。
これでもっと安心!
日本の水質基準は世界でも突出して厳しく設定されているため、全国各地、安心して利用することができます。
ただ一方で、残留塩素の基準値だけ上限が定められていないのです!残留塩素濃度を0.1mg/L以上保持しなければいけないという、世界とは逆の基準が設けられているのも事実です。
日本の厳正な管理のもと作られた水道水を、さらに安心してお使いいただくために浄水器の利用をおすすめします。
塩素は「消毒のために水道水に入れられている」のであり、「下限値どころか、これ以上入れましょう!という基準値が定められ、上限値は定められていない」のです。
この浄水場で人為的に入れられる殺菌剤の塩素。この残留塩素を暮らしで使う水道水からまるっと除去できたら、もっと安心ですね!
(参考文献/参考資料)
厚生労働省『農薬類の目標値の見直し等について』『水道の水質基準等の改正方針案について 』
内閣府食品安全委員会『食品安全委員会における農薬の食品健康影響評価について』
(参考Webサイト)
東邦微生物病研究所